2007年10月2日火曜日
50 Ways to Live in Malaysia その1
GALERI PETRONAS - Exhibitions:
"50 Ways to Live in Malaysia : Contemplating 50 Years of Nation Building Main Gallery
21 Aug 2007 - 30 Sep 2007"
「館」と付くところなら美術館と水族館好きの私にとって、KLはあまり楽しめる「館」がない。水族館は最近ツインタワーの地下にできたのだがまだ入っていない。何度か行ってみたのだけれど、長蛇の列にあきらめて帰ってしまった。日本にいる時と違って、すっかり忍耐心がなくなってしまったようです。
美術館はといえば、小さなギャラリーは別にすると、そもそもほとんど存在しません。公的な美術館としては国立美術館(略称NAG)、イスラム美術館があるが、NAGの方はマレーシア観光年だというのに、今年に入ってずっと改修工事のため休館。最近再オープンしたようだけれど、まだ大した企画はやっていないようです。先日、リニューアル後の様子を覗きに行ったら、入り口を入ってすぐ右手にある今までメインのギャラリーだったところが巨大なオフィスになっていて驚きました。全体に色彩が白と青のツートンカラーになり、国立美術館ではなくて警察署だとも言われています。(マレーシアでは警察関係の施設は白と青のツートンカラー)それに比べるとイスラム美術館はとても美しく、なかなか楽しいところです。いつ行ってもガラガラでのんびりできるというのもいい。面白い企画展も時々やってます。ミュージアムショップが充実しているというのもいい。間違いなく、マレーシアの美術館、博物館の中ではダントツに品揃えがいいショップです。
しかし、KLで元気があるギャラリーは何と言っても民間ギャラリーでしょう。VALENTINE WILLE FINE ART、Wei-Ling Galleryという個人がオーナーのギャラリーは、マレーシアの現代作家を中心にした個展、グループ展を常時企画しています。
この二つのギャラリーについてはまたどこかで書くことにしますが、今日お知らせするのはマレーシアで最もお金持ちの国営石油会社、ペトロナスが作ったギャラリーGallery Petronas。ここで開催されていた展覧会 50 Ways to live in Malaysiaを見てきました。
Gallery Petronasはマレーシアのシンボル、ツインタワーの足下にある巨大なショッピングセンターの中にあります。ツインタワーは、日本で言えば富士山と東京タワーと新幹線を合わせたような(ちょっと古いかな)唯一無二のナショナルアイコンになっていますが、そもそもはペトロナスの本社ビルで、ペトロナスはオフィスの他に、コンサートホールDewan Filharmonik Petronas、科学博物館、そして美術館と三つの文化施設を持っているのです。
Gallery Petronasは最近になって館長が代わり、活動がますます活発になりました。現在の館長Tengku Nasariha Tengku Syed Ibrahim女史は以前は科学博物館の館長をし、コンサートホールの仕事にも関わっていただけあり、アートマネージメントの経験が豊富。今年になってからも、大御所Latiff Mohidinの新作個展に始まり、Eddin Khooのキュレートによる報道写真展Photojournalism and the Iamaging of Modern Malaysia、日本の田中まさとの動く彫刻展、マレーシアを代表する小説家(『娼婦サリナ』)Aamad Saidのドローイング展など、ユニークな企画が続いています。つい最近は、アーティストであり美術界のオピニオンリーダーだったPiyadasaの死を追悼し、急遽回顧展を実施するなど機動力もあります。カタログが充実しているのもうれしい。
(続く)